庫裡の再生工事 | ハレとケを意識した空間設計

構造 木造
階数 平屋
延床面積 93.92㎡
竣工年月日 平成29年10月吉日
設計・監理 ㈱日の出組
一級建築事務所
施工 ㈱日の出組

庫裡(くり)とは

庫裏(くり)とも書き、庫院(くいん)ともいう。

具体的には寺内の食事を準備するところ、すなわち寺院の厨房(ちゅうぼう)(台所)のことを指しています。

「庫」は財物を蓄えるところ、「裡」は裏の俗字で内の意味をもっており禅宗の寺院では、これを「大庫院」と「小庫院」とに分け、前者では仏前に供える食事や住持、住僧などの食事を整え、後者では客僧などの食事を調達する場所として呼ばれていました。

現在では、住持(住職)が家族で住む場所をとくに庫裡と呼びます。

お施主様の要望

既存の和室(8帖)はそのままで、事務スペース 居間スペース、寝室、トイレ、洗濯干場を機能的になるようレイアウト変更したい。

また、耐震補強と断熱性も検討して欲しいとの要望でした。

設計のポイント

庫裡の性格上 『ハレとケ』をいかに両立させるかを、中心にプランニング致しました。

普段の生活環境とお寺の行事の際に使用するスペースを、打合せにて確認しながら動線計画、意匠設計を進めました。

ハレとケとは?

日本人特有の伝統的な価値観の一つとして存在している言葉です。

そもそも「ハレ」というのは、「晴れ」と表されることもあり、晴れ着や晴れ姿など折り目や節目という概念を持った言葉であり、儀礼や年中行事などを指す非日常という意味も持っています。

また、「ケ」は明治以前まで普段着のことをケ着と呼ばれていたところからきている、日常という意味を持っているとされています。

この言葉は学者の間でも様々な意味合いで審議が醸し出されておりますが、この事例では非日常と日常の意味合いで利用しております。

耐震工事、断熱工事の様子

玄関・廊下部はハレとケの切り替えができるよう演出

玄関のデザイン

玄関

玄関横に設けた応接スペースはロールスクリーンを降ろせば個室空間に変化して簡単な打合せが可能です。

間接照明とベース照明を併設しているので、普段と行事、即ち『ハレとケ』の演出が切り替え出来る照明計画になっています。

仕上材は、聚落塗りと檜板張りの壁、網代天井、床材は縁甲板張りとサンプル見本で確認しながら厳選した材料にて仕上げました。

和室部

既存再利用可能な部材は残す予定で進めていましたが、結局欄間以外は全てリニューアルしました。

和室

また、廊下や居間と一体利用可能な動線計画になっており、お施主様が見つけてこられた襖も生える空間に仕上がりました。

古民家再生後の和室

お施主様の声

冬は寒くて夏は暑い家だったのをこの機会に解消できた。なによりエアコン効率がよくなったなー。というお声をご訪問させていただいた際に頂戴しました。